バビロンにある教会-現代社会とキリスト信仰-
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(原題:The Church in Babylon)
米国はシカゴにある福音派教会、ムーディー教会の名誉牧師であり神学者でもあるアーウィンW・ルッツァー氏が、2018年に上梓した話題の一冊がついに翻訳されました。「現代のキリスト教会は、バビロン(旧約聖書時代にイスラエルの民を捕囚とした一大帝国)にある」という視点に立脚し、「キリスト教がマイノリティとなりつつある現代社会の中で、クリスチャンはどう生きるべきか」を真摯に問う内容となっています。LGBTや妊娠中絶に関する論争は、決して米国だけのものではなく、「福音派」と呼ばれるキリスト教保守層全体(日本も言うまでもなく)に共通する課題です。これらの問題と真摯に向き合い続けたルッツァー氏が、「現時点における最良の解」を聖書の言葉を根拠に詳述しています。福音派に属するクリスチャンたちにとって、現状をどう捉え直したらいいかについて、希望を与えてくれる一冊となることでしょう。
同時に、福音派の内側から自分たちの置かれている状況について分析している本書は、学術的にも貴重な価値を持つものです。「福音派(Evangelicals)」の思考体系をリアルにつかみとることができる一冊です。政治活動に特化した一部の福音派(宗教右派)でなく、聖書を生きる指針と受け止める神学的な意味での福音派に日本語で迫ることのできる良書と言えるでしょう。
本書は、三ツ橋信昌先生(印南バプテスト・キリスト教会 牧師)監修、鎌野善三先生(西宮聖愛教会 牧師)・青木保憲先生(グレース宣教会 牧師)の共訳で出版の運びとなりました。本書で扱う諸問題は、イデオロギーの二極化が進行している米国のみならず、現代日本においても決して無視できない社会紛争の種となりつつあります。クリスチャンにとって教派教団の壁を越えてお読みいただきたいのはもちろんのこと、他宗教・無宗教の壁をも超えて、すべての日本人に耳を傾けてもらいたい内容です。
目次
序言に代わるご挨拶
推薦の言葉
序文(まえがき)
召しを心に留める
〜私の心からあなたの心へ〜
第 1 章 バビロンへようこそ
〜私たちはここに到着した。そしてここに住むのだ〜
第 2 章 都市へ光を、心を神に
〜敵地で神を見出す〜
第 3 章 良心の葛藤
〜敵対的な環境下で信仰を保つ〜
第 4 章 国家が神に成り代わるとき
〜他の者がひざまづく時に強く立つ〜
第 5 章 教会、科学技術、そして純粋性
〜恐るべき敵と対決する勇気〜
第 6 章 トランスジェンダー主義、性、そして教会
〜文化のウソを声高に批判する〜
第 7 章 福音派教会内に存在する 4 つの誤った福音
〜聖徒たちに伝えられた信仰を守ること〜
第 8 章 十字架を取ってこの世界に
〜恥ずかしがることなく、唯一の救いのメッセージを分かち合う〜
第 9 章 教会の外におられるイエス
〜祈らない講壇、満足しきった聖徒たち、そして霊的な盲目〜
第 10 章バビロンで生き残る教会
〜悪意ある文化の中で勝利する〜
あとがき
著者紹介
アーウィンW・ルッツァー(Erwin W. Lutzer)
ムーディー教会(シカゴ)の名誉牧師として35 年仕える。神学者。ダラス神学校よりThM(神学修士号)、ロイヤル大学からMA(哲学修士号)、そしてサイモン・グリーンリーフ法科大学院から名誉法学博士号を授与される。著名な作家にして、全米三大ラジオ番組の説教者でもある。この番組は700カ所以上のラジオ局で配信され、全世界へ届けられている。現在もシカゴ在住で、3 人の子ども、8 人の孫が与えられている。
出版:イーグレープ
2023年1月
バビロンにある教会-現代社会とキリスト信仰-