人間論 付)ラ・フォルジュ『注解』
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デカルトといえば,思考を本質とする精神と,機械的な延長を本質とする物体(身体)という二種類の実体を区別する心身二元論の哲学者として知られる。デカルト哲学における「人間」は,精神と身体の両側面から把握されてはじめて捉えられる存在であり,その思想における身体論の核心を示すのが,『人間論』である。加えて本書には,『人間論』とは別の時期に執筆された未完草稿『人体の記述』,医師ラ・フォルジュによる『注解』を収録。
『人間論』は,デカルトが構想した大著『世界論』の一部として執筆された未完草稿で,死後にクレルスリエによって編集・刊行された。人間をまず「精神を欠いた身体=機械」と仮定し,感覚・運動・反射を,精気の流動と器官配置の因果連鎖として機械論的に数学的秩序で解明していく。
『人体の記述』は,「胎児形成論」とも呼ばれ,身体の成立・維持・成長・発生に焦点を絞り,血液循環や微粒子運動によって器官形成を説明する。生理機能の作動を扱う『人間論』とは異なり,身体生成の過程を主題とする。
さらにラ・フォルジュによる『注解』(本邦初訳)は,方法的前提や身体=機械の原理,精気,松果腺を中心に詳細な検討を加え,当時の医学・解剖学知識によって補足と擁護を行い,『人間論』の成立条件と限界を明らかにする。
『人間論』をはじめとする生理学テキストを収録した本書は,今日の生理学・神経科学にいたる基盤を形成する一級の資料である。
<目次>
訳者はしがき
凡例
コルベールへの献辞
序文
王の允許・抜粋
ルネ・デカルト
『人間論』
第一部 身体という機械について
第二部 身体という機械はどのようにして動くのか
第三部 この機械の外部感覚について
第四部 この機械のなかにある内部感覚について
第五部 この機械の脳の構造について
図版
『人体の記述』
第一部 序文
第二部 心臓および血液の運動について
第三部 栄養について
第四部 胚種において形成される部分について
第五部 固体部分の形成について
ルイ・ド・ラ・フォルジュ
『注解』
[第一部]
[第二部]
[第三部]
[第四部]
[第五部]
シュール氏の序文
解説1 本書の経緯と概要(山田弘明)
解説2 デカルトにおける神経科学――その萌芽と開花(竹田扇)
デカルト『人間論』項目一覧
デカルト『人体の記述』項目一覧
索引
版型:新書
頁数:616ページ
著者:ルネ・デカルト/著、山田弘明・竹田扇/訳
出版:知泉書館
2026年2月10日
人間論 付)ラ・フォルジュ『注解』