カテナ・アウレア マルコ福音書註解 知泉学術叢書40

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「カテナ・アウレア」(黄金の鎖)は正式には『四福音書連続註解』と言う。四福音書全体にわたり,トマスが80名ほどのラテン教父とギリシア教父のテキストを,聖書の文脈に即して採取した文章をもとに註解した集大成である。本書は『マタイ福音書』に続く『マルコ福音書』を扱う。
冒頭では話の筋が述べられ,次に聖句の節について文字的・歴史的・象徴的な意味が語られる。トマスは実証神学について鋭敏な感覚を備えていたので,典拠に対し忠実に向き合い,全体のテキストを統一的に捉え見事に註解した。
トマスは福音書の知恵は,快楽よりも甘美で,地位や王座よりも安全で,富よりも有益であると語った。本書ではイエスの愛と知恵について,心を尽くして伝えられる。
これは膨大な文献と知恵の一大パノラマである。キリスト教の精神だけでなく,ヨーロッパの生活や文化を考えるうえでも,比類のない第一級の資料である。
福音書はマタイ,マルコ,ルカ,ヨハネの4人の福音記者が,先行の福音書を踏まえつつ,あらたな事象を加えて編纂したものである。時代状況のなかでイエスの愛を探究しながら,それぞれ独自の要素を加えていった。
巻末の160頁に及ぶ解説では,13世紀の托鉢修道士の活動を中心に,聖書註解の歴史と論争を詳細に紹介し,わが国では知られていない註解と神学との関連を明らかにした。
キリスト教への関心だけでなく,「いかに生きるべきか」を考えるための知恵と勇気を与えてくれる宝庫となろう。


凡例

枢機卿ハンニバルドゥスへの献呈の言葉

序文

第1章
 第1節(§1)
 第2-3節(§2)
 第4-8節(§3)
 第9-11節(§4)
 第12-13節(§5)
 第14-15節(§6)
 第16-20節(§7)
 第21-22節(§8)
 第23-28節(§9)
 第29-31節(§10)
 第32-34節(§11)
 第35-39節(§12)
 第40-45節(§13)

第2章
 第1-12節(§1)
 第13-17節(§2)
 第18-22節(§3)
 第23-28節(§4)

第3章
 第1-5節(§1)
 第6-12節(§2)
 第13-19節(§3)
 第20-22節(§4)
 第23-30節(§5)
 第31-35節(§6)

第4章
 第1-20節(§1)
 第21-25節(§2)
 第26-29節(§3)
 第30-34節(§4)
 第35-41節(§5)

第5章
 第1-20節(§1)
 第21-34節(§2)
 第35-43節(§3)

第6章
 第1-6a節(§1)
 第6b-13節(§2)
 第14-16節(§3)
 第17-29節(§4)
 第30-34節(§5)
 第35-44節(§6)
 第45-52節(§7)
 第53-56節(§8)

第7章
 第1-13節(§1)
 第14-23節(§2)
 第24-30節(§3)
 第31-37節(§4)

第8章
 第1-9節(§1)
 第10-21節(§2)
 第22-26節(§3)
 第27-33節(§4)
 第34-39節(§5)

第9章
 第1-7節(§1)
 第8-12節(§2)
 第13-28節(§3)
 第29-36節(§4)
 第37-41節(§5)
 第42-49節(§6)

第10章
 第1-12節(§1)
 第13-16節(§2)
 第17-27節(§3)
 第28-31節(§4)
 第32-34節(§5)
 第35-40節(§6)
 第41-45節(§7)
 第46-52節(§8)

第11章
 第1-10節(§1)
 第11-14節(§2)
 第15-18節(§3)
 第19-26節(§4)
 第27-33節(§5)

第12章
 第1-12節(§1)
 第13-17節(§2)
 第18-27節(§3)
 第28-34節(§4)
 第35-37節(§5)
 第38-40節(§6)
 第41-44節(§7)

第13章
 第1-2節(§1)
 第3-8節(§2)
 第9-13節(§3)
 第14-20節(§4)
 第21-27節(§5)
 第28-31節(§6)
 第32-37節(§7)

第14章
 第1-2節(§1)
 第3-9節(§2)
 第10-11節(§3)
 第12-16節(§4)
 第17-21節(§5)
 第22-25節(§6)
 第26-31節(§7)
 第32-42節(§8)
 第43-52節(§9)
 第53-59節(§10)
 第60-65節(§11)
 第66-72節(§12)

第15章
 第1-5節(§1)
 第6-15節(§2)
 第16-20a節(§3)
 第20b-28節(§4)
 第29-32節(§5)
 第33-37節(§6)
 第38-41節(§7)
 第42-47節(§8)

第16章
 第1-8節(§1)
 第9-13節(§2)
 第14-18節(§3)
 第19-20節(§4)

解説
 I 聖書註解の歴史 3
  1 1200-1230年
   1.1 オックスフォード
   1.2 パリ
  2 托鉢修道会による革新
   2.1 在俗教授との違い
   2.2 サン・シェールのフーゴーの聖書註解
  3 霊的解釈の衰退
   3.1 霊的意味を重視する方向性
    3.1.1 ミドルトンのウィリアム
    3.1.2 フィオーレのヨアキム
     A)ヨアキムの教え
     B)ヨアキムの影響
     C)ヴァルジーのヨハネスの歴史解釈
     D)トマス・アクィナスによる評価
   3.2 文字的意味を重視する方向性
    3.2.1 アリストテレスと文字
    3.2.2 アリストテレスの影響
     A)サンシェールのフーゴー
     B)サン・カンタンのゲリクス
     C)ボナヴェントゥラ
     D)アルベルトゥス・マグヌス
     E)トマス・アクィナス
    3.2.3 『出エジプト記』23章19節の解釈
   3.3 文字的意味の重視がもたらしたもの
    3.3.1 ダンテ
    3.3.2 サリンベーネ
  4 アリストテレス著作の聖書註解への受容
   4.1 パリ
    4.1.1 代表的人物
    4.1.2 神学への影響
    4.1.3 哲学者たち
    4.1.4 ラ・ロシェルのヨハネス
   4.2 オックスフォード
    4.2.1 ロバート・ベーコン
    4.2.2 ヒントンのシモン
     A)教師論
     B)文字的意味の重視
     C)植物採集
     D)奇跡の自然学的説明
    4.2.3 トマス・ドッキング
   4.3 政治学
    4.3.1 関心の高まり
    4.3.2 聖書註解者たち
     A)サン・シェールのフーゴー
     B)ヴァルジーのヨハネス
     C)匿名作者たち
     D)アルベルトゥス・マグヌス
  5 結語
 II テオピュラクトスについて
  1 はじめに
  2 生涯
  3 聖書註解
  4 受容史
   4.1 南イタリア
   4.2 ビザンツにおけるラテン文人
    4.2.1 フーゴー・エテリアヌス
    4.2.2 高位聖職者と宣教師
   4.3 ロバート・グロステスト
   4.4 ドゥラスのニコラオス
   4.5 トマス・アクィナス
  5 東方の伝統とトマスの聖書註解
  6 結論
 III ヒエロニムス『マルコ福音書説教』――説教6に見る聖書解釈の方法
  1 著者,成立年代,背景
   1.1 著者について
   1.2 成立年代
   1.3 場所と聴衆
   1.4 歴史的位置づけ
  2 説教6について
   2.1 はじめに
   2.2 翻訳
   2.3 聖書解釈の方法をめぐる考察

訳者あとがき
索引

著者:トマス・アクィナス
訳者:保井 亮人 訳

シリーズ 知泉学術叢書
出版年月日 2025/08/30
ISBN 9784862854421
判型・ページ数 新書・732ページ

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6,600円(本体6,000円、税600円)

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