まことの聖餐を求めて
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なぜ教会は聖餐を祝うのか?
聖餐にはどんな意味があるのか?
どうして洗礼を受けた者だけがそれにあずかれるのか?
聖書・歴史・組織・実践の神学の諸分野から丁寧に解説。
また、各教派(ローマ・カトリック、聖公会、、ルーテル、改革派)の理解と実践や、現在のドイツ福音主義教会、アメリカ合同メソジスト教会の現状、そして日本の教会の取り組みなども紹介する。
「私たちは説教や礼拝讃美を通して聖餐を祝うことがさらに豊かになることを願っています。しかし聖餐の豊かさとは、聖餐が聖餐である時にだけ使うことのできる言葉です。・・・主の晩餐の本当の意味が現代という時代の文脈の中で失われてしまわないように、教会を託された者たちがしっかりとした見識を持ち、また多くの方がこの問題についてさらに理解を深めることができるように、その一助として本書が用いられれば幸いです。」(「まえがき」より)
[目次]
はじめに 芳賀力
1 旧約学の立場から
「契約」概念から聖餐問題を考える──聖餐をめぐる聖書神学的考察 小友聡(聖餐式の混乱/聖書学の問題性/聖餐問題をめぐる聖書学的議論について ほか)
2 新約額の立場から
「聖餐」の歴史的三つのルーツ探る──個性的であるがゆえに魅力的な共同体形成を目指しつつ 中野実(問題設定と方法論/「聖餐」の歴史的三つのルーツとは? ほか)
パウロにおけるサクラメント理解──洗礼と聖餐 朴憲郁(パウロにおける洗礼/パウロ自身の受洗の問題/洗礼の教会論的意義 ほか)
3 教会史と諸伝統の中で
ローマ・カトリック教会における聖体祭儀 小高毅(典礼/秘蹟/第二ヴァティカン公会議とその後の典礼刷新/教皇パウロ六世『ミステリウム・フィデイ』 ほか)
未受洗者の陪餐──聖公会の立場から 岡野保信(アングリカン・コミュニオンとは/四綱憲/エキュメニズムとアングリカン教会/幼児の陪餐について ほか)
キリストにあって神の真実を受け取る 福音の説教と聖餐──ルーテル教会の理解と実践から 徳善義和(教会とは何か/福音の説教/洗礼と聖書 ほか)
改革教会の伝統の立場から 牧田吉和(日本プロテスタント・キリスト教における聖餐の問題/宗教改革における聖餐論──「キリストの現臨」を中心にして ほか)
4 組織神学の立場から
荒れ野に備えられた主の食卓 芳賀力(人生の荒れ野にて/メシアの食卓/キリストの死と復活/信仰による特別の食事 ほか)
5 実践神学の立場から
すこやかに教会を生かす聖餐を祝おう 加藤常昭(危機を迎えて/伝道に生きる教会の聖餐/キリストのからだを造る聖餐 ほか)
6 各国の現状
ドイツ福音主義教会の現状 楠原博行(『聖餐──福音主義教会における聖餐の理解と実践のための指針』について/洗礼と聖餐をめぐるドイツでの教会生活 ほか)
アメリカ合同メソジスト教会の現状──礼拝、洗礼、聖餐、キリスト教倫理 東方敬信(洗礼の豊かさ/聖餐の信仰と背景と実践 ほか)
7 教会の実践の中から
神の宣教(Missio Dei)とキリストの教会──教会形成論の立場から 岡本和之(「神の宣教」論前史/「神の宣教」論の本質/「神の宣教」論と諸教派の対応 ほか)
取れ!キリストの命を 西堀俊和(これまでの歩みの中で/教師の問題/教憲教規が唯一の理由なのではない ほか)
おわりに
それが「聖餐の豊かさ」なのだろうか 芳賀力(まず用語について/お門違いの批判について/イエスの食卓について ほか)
出版: 教文館
著者: 芳賀力:編 岡野保信/岡本和之/小高毅/小友聡/加藤常昭/楠原博行/東方敬信/徳善義和/中野実/西堀俊和/朴憲郁/牧田吉和
発売/発行年月: 2008年9月
判型: A5
ページ数: 394
まことの聖餐を求めて