世阿弥の「花」を知る 新刊 これから出る本 能楽論と謡曲を通して

  • 世阿弥の「花」を知る  新刊 これから出る本
能楽論と謡曲を通して
「花」とは日本の文芸論において,自然の呼びかけに応答した人々の美しい心を表わしてきた。自然(もの)と心と言葉との根源的な意味の連関,さらに「花」の自己変容と生のあり方を探究する歩みでもあった。
それらの伝統を踏まえた世阿弥の二十数編におよぶ「能楽論」は,父観阿弥が開いた能の世界を開花させる試みでもある。「謡曲」では能における「花」の成立の機微を多彩な場面の中で演じ,態(わざ)の習得と変容する「花」の探究,さらに観客と一つになる能舞台の実現に導く実践の場でもある。演者にとって完成はなく,到達とその否定の止まることがない繰り返しへの挑みであり,それにより態と人生を生きる究極の場に導かれる。
本書は能の指南書と脚本である世阿弥の能楽論と謡曲について,全体としての文脈を吟味しその基本構造を解明する独自の試みである。見事に結晶し開花した作品群を単なる意味づけではなく,作品が持つ内的生命についてテキストをして語らしめることにより明らかにする。
第�吃瑤稜蹴斛世任蓮ぁ嵒�姿花伝」「花鏡」など多数の作品により,「序破急」の成立構造を分析し,物まねと舞歌による「妙」の働きを解明,芸の到達と途上のあり様を示すとともに観客との一体感の成就を考察,能の展開の実相とその支えとなる心について考察する。
第�局瑤任詫惷覆両症�,忠度,八島,井筒,野宮の5作品を詳細に検討し,能楽論を踏まえた全体の流れの中で,これらの作品固有の表現を明らかにする。

はじめに

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 第一章 「序破急」の成り就く構造
  第一節 「花」の根本的性格
  第二節 能の成立と「序破急」
  第三節 観阿弥の意味

 第二章 能の展開と心
  第一節 物まねと舞歌――「妙」の働きの宿る場として
  第二節 到達と途上――成就と否定の道行き
  第三節 離見の見――観客との一座成就

 第三章 花の成就と自己変容
  第一節 根源の受動性と「成就」
  第二節 不断の否定性と超越
  第三節 態の全一性と心

 終章 可能性の総体としての「能」

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 第一章 「松風」考――「恋慕」と「狂」――
  第一節 「松風」における「恋慕」のありよう――「事の多き」
  第二節 世阿弥能楽論における「序破急」
  第三節 「松風」における「序」――出会いと名付け
  第四節 「松風」における「破」――恋慕の諸相
  第五節 「松風」における「急」――「松風ばかりや残るらん」

 第二章 「忠度」考――「花こそ主なりけれ」の意味をめぐって――
  第一節 問題の提示――「花こそ主なりけれ」の「主」とは
  第二節 問答におけるワキの変容
  第三節 弔いにおけるシテの変容
  第四節 世阿弥能楽論における「主」と「忠度」の「主」

 第三章 「八島」考――「生死の海」と「真如の月」――
  第一節 主題の提示―空に水を見,水に空を見る
  第二節 海と陸――この世の闘諍
  第三節 「生死の海」と「真如の月」
  第四節 海と空との一体化

 第四章 「井筒」考――「心の花」の成就――
  第一節 「井筒」における「直なる」ありよう
  第二節 「井筒」における「序」――井筒での「出会い」
  第三節 「井筒」における「破」――「思ひ出」と「語り」による「昔」の甦り
  第四節 「井筒」における「急」――「妙」なるものの働きとの「出会い」

 第五章 「野宮」考――森と心との変容,甦りをめぐって――
  第一節 問題の提示――「火宅の門をや出でぬらん」
  第二節 森の二面性
  第三節 本説『源氏物語』における榊の役割
  第四節 森とシテの変容
  第五節 「火宅の門をや出でぬらん」――成就と否定

 おわりに――「年々去来の花」への眼差し
 索引


著者:鈴木 さやか

出版年月日 2024/11/10
ISBN 9784862854209
判型・ページ数 A5・308ページ

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6,050円(本体5,500円、税550円)

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