ウェストミンスター信仰規準 三訂版
最新のクリティカル・テキストを用い、新機軸を打ち出した決定版
「信仰規準」、特に「信仰告白」の原文は、ほとんどの場合かなり長文(複数の文章がコロンやセミコロンで繋がれている場合でも、ピリオドは最後に一つのみ)ですが、それは、神学的論理を明確にし、その上で教理命題を簡潔・適切に提示するためでした。従来の拙訳でもその点に相当留意してはいますが、日本語としてわかりやすくするために長い一文を句点で句切り、複数の文章としたところも少なくありませんでした。しかし、この「三訂版」においては、原文の本来の意図を生かすことを優先させたいと考え、ピリオドが打たれていない限り、どんなに長い文章でもそれを一文として翻訳する方針を採りました。そのため、長い一文の場合、句点、読点なしで前の文章を一旦終わり、その後に縦線(――)を挿入して、後に続く文章と繋ぎ、全体が一文であることが一目瞭然にわかるよう工夫しました。これによって読者は、「信仰規準」、特に「信仰告白」の構造と展開が、聖書的・慣用的〈二分法〉(全体を二つに分ける)だけでなく、十六、十七世紀欧米の神学と哲学に大革新をもたらしたペトルス・ラームス(サン・バルテルミの虐殺で殉教したフランス人哲学者)の〈二分法〉(各概念の二分を繰り返す)に基づいていることを比較的容易に洞察することが可能となります。(「三訂版によせて」より)
出版: 一麦出版社
訳者: 松谷好明
2021年9月
ウェストミンスター信仰規準 三訂版