十字架とリンチの木
キリスト者に対し、人種・民族差別に抵抗するための助けを与える書
米国南部で「リンチの木」に吊るされた何千もの黒人は、繰り返し十字架につけられたイエスそのものであった。リンチの歴史的傷を癒すための対話の端緒であり、あらゆる人種・民族差別に抵抗するすべを探る、黒人神学の先駆者の「全著作の継続であり完成点」。
【目次】
感謝の言葉/はじめに
第一章 「誰も私の見ている悩みを知る者はいない」─黒人経験における十字架とリンチの木
第二章 「十字架の恐るべき美」とリンチの木の悲劇─ラインホールド・ニーバーについての考察
第三章 十字架を担うこととリンチの木を見つめること─マーティン・ルーサー・キング二世のアメリカの魂を贖う闘い
第四章 黒人文学の想像力における再び十字架につけられたキリスト
第五章 「ああ、メリーよ、もう泣くな」
むすび 十字架とリンチの木の遺産
注記/訳者あとがき/索引
【著者紹介】ジェイムズ・ハル・コーン(James Hal Cone)
米国の黒人解放神学者。1938年アーカンソー州フォーダイスに生まれ、人種隔離政策の中で成長、公民権運動の影響を受ける。フィランダー・スミス・カレッジ、ギャレット神学校、ノースウェスタン大学(M.A.およびPh.D.)に学ぶ。1969年よりニューヨーク・ユニオン神学校で組織神学を教える(ラインホールド・ニーバーの後任)。73年より教授、77年よりチャールズ・ブリッグズ記念教授、87年より同名誉教授となり現在に至る。
【訳者紹介】梶原 壽(かじわら・ひさし)
1932年山梨県生まれ。名古屋学院大学学長、理事長を経て、現在同大学名誉教授。日本M.L.キング研究会幹事。社会福祉法人「愛知いのちの電話協会」評議員を経て現在養成委員メンバー。2010年瑞宝中綬章受章。
出版:日本キリスト教団出版局
十字架とリンチの木