詩人イエス ドイツ文学から見た聖書詩学・序説
純化を求め、自己完結を貫く人間の言葉の中で、神の啓示への応答としての信仰詩はどのようにして生まれるのか?
人間の閉ざされた言葉の前で、自らをへりくだらせた「神の詩」としてのイエスが、砕かれ、十字架につけられるという出来事に直面するとき、破れた人間の言葉から立ち上がる讃美に「信仰詩」の可能性を求める、聖書詩学の試み。
[目次]
序 聖書詩学?
第一章 詩人イエス──「神の詩」の存立とその語法について
第二章 讃美のはじまり──啓示への応答としての「うた」
第三章 ルター讃美歌の生成──「ひとつの死、別なる死を喰らいて」
第四章 バッハ・詩と音楽の関わり──カンタータ第一〇六番「神の時は最良の時」
第五章 ドイツ宗教詩と世俗化の問題──信仰の歌と問いかける詩
第六章 ハーマンにおける「霊(ゲーニウス)」──「聖なるもの」の喪失に抗して
第七章 聖書詩学と『美学提要』──キリスト教文学における古典古代の伝統とその受容
第八章 譬えと物語り──語り手の問題・賢治にふれつつ
結び 現代における信仰詩の可能性
著者:川中子義勝
出版:教文館
詩人イエス ドイツ文学から見た聖書詩学・序説