日韓キリスト教関係史研究

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明治期のキリスト教が直面した天皇制国家への適応、日本統治時代の「朝鮮伝道」、そこで起こった堤岩里教会での虐殺事件と日本のキリスト者の反応など、キリスト教の視点から見た両国の関係史を具体的事例から分析し、今後の和解と連帯に向けた課題を考察する。


【目次】

第1部 日本キリスト教史の理解
 Ⅰ 日本キリスト教史概観
   はじめに――日本の政治社会とキリスト教
   1.カトリックの伝来と受難
   2.キリスト教の受容環境と適応
   3.戦時下におけるキリスト教の歩み
   4.戦後におけるキリスト教の変化
   5.キリスト教と韓国問題
   おわりに――キリスト教の課題
 Ⅱ キリスト教の国家体制への適応過程
   はじめに――キリスト教の受容環境
   1.「皇道的キリスト教」の形成
   2.受容期におけるキリスト教の特性と存在様式
   おわりに――制限された受容史
 Ⅲ 初期の神学思想史と自由主義の挑戦
   はじめに――キリスト教思想の受容過程
   1.教派の形成と神学の動向
   2.教派神学と「自由主義」の葛藤
     ――金森通倫の神学と植村正久の批判
   おわりに――今日の神学的傾向
 Ⅳ 神社参拝問題とキリスト教
   はじめに――最大の試練
   1.日本のキリスト教の全体像
   2.神社問題に対するキリスト教の初期反応
   3.神社参拝の受容
   おわりに――神社参拝問題と日韓キリスト教
 Ⅴ 「日本基督教団」の形成過程
   はじめに――教派教会の土着
   1.日本プロテスタント教派教会の成立
   2.近代国家のキリスト教政策とキリスト教界の対応
   3.「宗教団体法」(1939年3月)とキリスト教の歩み
   4.「日本基督教団」の形成と葛藤
   5.戦時下における「日本基督教団」の動向
   おわりに――「日本的キリスト教」の試みと限界
 Ⅵ 戦前戦後におけるキリスト教の存在様式の変化
   はじめに――キリスト教形成過程論
   1.ファシズムとキリスト教
   2.戦後における神学的再編
   おわりに――神学的解明と実践的応答

第2部 日韓キリスト教関係論
 Ⅰ 日本のキリスト教と「朝鮮伝道論」
   はじめに――帝国主義時代の神学的方向性
   1.朝鮮伝道に反する形態
     1-1.個人伝道の例
     1-2.帝国主義宣教の典型
        ――日本組合教会における朝鮮伝道の経緯
   2.日本組合教会による「朝鮮伝道論」の実像
     2-1.総督府のキリスト教政策における二律背反性
     2-2.渡瀬常吉らの「植民地伝道論」
   3.「朝鮮伝道論」に対する内部批判
     3-1.柏木義円の渡瀬常吉批判
     3-2.湯淺治郎、吉野作造、佐藤繁彦などの意見
   おわりに――朝鮮伝道の衰退
 Ⅱ 日本のキリスト教と堤岩里教会事件
   はじめに――堤岩里教会事件に対する日本側の反応
   1.3・1独立運動に対するキリスト者の反応
     1-1.原因論の指摘
     1-2.解決策の提示
     1-3.評価
   2.堤岩里教会事件に対するキリスト者の反応
     2-1.問題提起
     2-2.表現と行為
     2-3.評価
   おわりに――日本のキリスト教の限界と転換

 Ⅲ 日帝下における朝鮮の教会に対する批判
   はじめに――キリスト教の対外的関心
   1.朝鮮のキリスト教――「ユダヤ的キリスト教」
   2.朝鮮における「政教分離論」
   3.「脱西欧、東洋的、日本的キリスト教」の模索
   おわりに――三つの神学的命題に対する解釈
 Ⅳ 日帝下における日韓キリスト教の共通課題
   はじめに――日韓民族教会の出発点
   1.韓国のキリスト教の課題と対応
   2.日本のキリスト教の信仰課題と適応
   おわりに――日韓民族教会の差別性
 Ⅴ 日帝末期におけるキリスト教の受難――宗教間の葛藤
   はじめに――日帝末期受難史研究の観点
   1.「天皇制イデオロギー」と「国家神道」の宗教性
   2.受難と葛藤の実像
   3.受難主体の性格
   おわりに――教教葛藤の側面
 Ⅵ 日帝末期における「日本基督教朝鮮教団」の形成過程
   はじめに――単一教会の実現
   1.日帝末期におけるキリスト教政策の特性
   2.各教派の「日本化」と「革新教団」
   3.「日本基督教朝鮮教団」の成立
     3-1.「朝鮮教団」成立の直接的背景について
     3-2.「朝鮮教団」成立のための具体的提案について
     3-3.「朝鮮教団」成立の進捗速度や準備委員会構成について
     3-4.「朝鮮教団」の創立日と参加範囲について
     3-5.「朝鮮教団」創立の全景
     3-6.「朝鮮教団」と従来の教派組織における職位について
     3-7.「朝鮮教団」の招待役員構成について
     3-8.「朝鮮教団」創立以降の組織化について
     3-9.「朝鮮教団」組織の法的効力発生と既存教団との財政問題
        及び本部の位置について
     3-10.「朝鮮教団」の公式業務開始と終了について
   4.「日本基督教朝鮮教団」の歩み
   おわりに――朝鮮における単一教会の限界

第3部 日韓キリスト教の未来
 Ⅰ 和解と連帯
   はじめに――日韓関係史の特性
   1.「懺悔」と「和解」の順序
   2.日韓関係とキリスト教の役割
   3.日本のキリスト教の姿勢
   おわりに――「和解」と「連帯」の新しい地平
 Ⅱ 日韓キリスト教の歴史的比較と今後の課題
   はじめに――受容と展開過程の比較
   1.政治的状況との関係
   2.信仰的「内燃」をめぐる問題
   3.文化的一体感の課題
   おわりに――歴史的特性と今後の課題

参考文献
 Ⅰ 日本近代史、日本キリスト教史、日韓キリスト教関係史関連
 Ⅱ 韓国近代史及び韓国教会史関連

あとがき

徐 正敏:著

A5判 上製 362ページ

出版:日本キリスト教団出版

日韓キリスト教関係史研究

5,940円(本体5,400円、税540円)

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