トマス・アクィナス『ヨブ記註解』

  • トマス・アクィナス『ヨブ記註解』
トマスの聖書註解は,『神学大全』『命題集註解』『定期討論集』などトマスの主要な著作グループの一つを形成し,その分量は全体の六分の一を占める。にもかかわらず従来『神学大全』や『対異教徒大全』など体系的著作に関心が集中し聖書註解が注目されることはなかった。しかし最近ではアメリカを中心に聖書註解の翻訳や紹介が公にされはじめ,その全体像が明らかになりつつある。

神学と聖書の教師であるトマスにとって,講解・討論・説教の活動における聖書教育は最も本質的な任務であった。

伝統的なヨブ記註解としてグレゴリウスの『道徳論』が権威をもっていた時代に,トマスは比喩による象徴的な解釈から,一語一語テキストを文字内容に従って直接かつ客観的に説明し,語句と事柄の意味を関連づけることで難解な議論を理解する道を拓いた。

また簡にして要を得た訳者解説は,読者にとってトマスの聖書註解の新たな歴史的意義と方法論的な革新,さらにはトマス思想の核心へと誘う格好のガイドとなっている。


<目次>
凡例
序文

第1章(ウツの地にヨブという名の男がいた。……)
第2章(ある日,神の子らが主の前に来て立っていたとき,……)
第3章(これらのことの後で,ヨブは自らの口を開き,……)
第4章(テマン人エリファズは答えて言った。われわれがあなたに語り始めると,……)
第5章(怒りは愚かな者を殺し,妬みは卑小な者を滅ぼす。……)
第6章(ヨブは答えて言った。どうか神の怒りを引き起こしたわたしの罪と……)
第7章(地上における人間の生は兵役のようなもの。……)
第8章(シュア人ビルダドは答えて言った。いつまで,そんなことを言っているのか。……)
第9章(ヨブは答えて言った。それは確かにわたしも知っている。……)
第10章(わたしの魂は生きることをいとう。……)
第11章(ナアマ人ツォファルは答えて言った。どうしてあなたは多くを語り……)
第12章(ヨブは答えて言った。あなたたちのみが人間で,……)
第13章(見よ,これらすべてのことをわたしの目は見,……)
第14章(人間の日々は短く,その月日の数はあなたのもとにある。……)
第15章(テマン人エリファズは答えて言った。どうして知恵のある者が……)
第16章(ヨブは答えて言った。わたしはこのようなことを繰り返し聞いた。……)
第17章(わたしの霊は弱まり,わたしの日々は短くなり,……)
第18章(シュア人ビルダドは答えて言った。あなたはいかなる目的のために……)
第19章(ヨブは答えて言った。あなたたちはいつまでわたしの魂を苦しめ,……)
第20章(ナアマ人ツォファルは答えて言った。それゆえ,様々な思念がわたしに起こり,……)
第21章(ヨブは答えて言った。お願いだから,わたしの話を聞き,……)
第22章(テマン人エリファズは答えて言った。人間が神と比較できようか,……)
第23章(ヨブは答えて言った。今やわたしの言葉は苦さを含み,……)
第24章(時は全能者に隠されていない。……)
第25章(シュア人ビルダドは答えて言った。力と恐怖は彼のもとにあり,……)
第26章(ヨブは答えて言った。あなたは誰を助けているのか。……)
第27章(ヨブは自らを例に挙げて続けて言った。……)
第28章(銀はその鉱脈の根源を有し,金には溶解される場所がある。……)
第29章(ヨブは自らを例に挙げてさらに言った。……)
第30章(今や年齢の若い者がわたしを嘲る。……)
第31章(わたしは乙女について考えないように,自らの目と契約を結んだ。……)
第32章(この三人の男はヨブに答えるのをやめた。というのも,……)
第33章(それゆえ,ヨブよ,わたしの話を聞き,わたしのすべての話に耳を傾けよ。……)
第34章(さらに,エリフは次のように語った。知恵ある者よ,わたしの言葉を聞け。……)
第35章(それゆえ,エリフはさらに次のことを語った。……)
第36章(加えてエリフは次のことを語った。しばらくわたしの話を待ってくれ。……)
第37章(神は手のうちに光を隠し,再び到来するように命じる。……)
第38章(主は嵐の中からヨブに答えて言った。未熟な言葉によって……)
第39章(あなたは岩場でトキが生む時を知っているのか。……)
第40章(主は嵐の中からヨブに答えて言った。男らしく腰に帯をせよ。……)
第41章(わたしは残酷な者として彼を呼び起こすのではない。……)
第42章(ヨブは主に答えて言った。わたしはあなたが全能であり,……)

解説
訳者あとがき
索引


出版:知泉書館

2016年11月20日 発行

トマス・アクィナス『ヨブ記註解』

7,040円(本体6,400円、税640円)

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