麦の唄が聞こえる 第三集
及川尚子さんと毎週お会いするようになって今年で四年になりますが、近くで拝見する尚子さんは、可愛らしい魅力を感じさせてくださる方です。気付いたことを飾らず、曲げず、まっすぐに伝えてくださる彼女は、正直で子どものように素直な方、そして「ごめんなさいの達人」だと思います。この魅力はどこから来るのでしょうか。 誰も知らない普段の姿は、とっさの言葉に出てしまうものです。鍵は「いつも」にあるかもしれません。いつも心に流れるフレーズ、普段毎日使っている言葉こそ、尚子さんその人です。 特別な日のためには、誰でも張り切って美しく整え、心を込めてしつらえます。しかし、普段の生活、ありふれた日常にも、一つひとつ心を込めて丁寧に歩んでいる人は僅かです。こうして、仕えることに心を込め、表現することに心を込め、もてなすことに心を込め、伝えることに心を込めて歩んでこられた著者が、込めた心を麦の唄のメロディーで綴っておられます。 この唄の広場に再び私達をお招きくださる、三作目の「麦の唄が聞こえる」ができあがってきました。そのメロディーは、彼女が心を尽くし力を尽くして愛している、創造主から与えられた旋律ですこの本は、彼女が十字架上から流れる主イエスの血潮の雫の音を聴き、父なる神の涙が彼女の胸に落ちる音を聴いて生まれた画文集なのでしょう。 主イエスは「どうしても必要なことはわずかです。いや、一つだけです」と言われましたが、最も重要な一つのことに心を集中させる人生に、降りてきた物語が日ごとに書きとめられ、こうして綴じられました。 「愛する人に伝えたいことがある、たとえ命を削ってでも。」 その確かな命の拍を聴きながら、開かれたページの中にそっとたたずんでみましょう。きっと、私にも麦の唄が聞こえてくる、と心を開いて。 聖協団上田キリスト教会 福島晶子
著者:及川尚子
出版:イーグレープ
麦の唄が聞こえる 第三集