小説キリスト
世界的なキリスト教伝道者・大ベストセラー『死線を越えて』の作者・生協の父と呼ばれる賀川は、渾身5年の歳月をかけて、この小説にキリストの愛の姿を描く。80年ぶりに復刻する本書は、賀川文学の集大成と言える。
「洗礼者ヨハネの死からイエス自身の十字架死へ、さらに散文詩による復活に至るイエス劇は、著者の並々ならぬ創作意欲が伝わってきます。牧師である賀川が社会運動に関わることについて、「私はイエスの弟子だから社会運動を行うのです」と語るように、彼の幅広い社会運動の思想と実践の根底には、イエスのように生きたいという彼のキリスト信仰がありました。本書はまさに「賀川のイエス・キリスト」なのです。」
(賀川豊彦記念松澤資料館館長 加山久夫「編者あとがき」より)
●著者紹介 賀川豊彦(かがわ とよひこ)
1888年神戸生まれ。徳島で幼少年時代を過ごしキリスト教に入信、明治学院高等部神学予科および神戸神学校で学ぶ。1909年、神戸スラムに移り住み、救霊・救貧活動を始める。1914年米国プリンストン大学および神学校に留学。帰国後、神戸に戻り、労働運動、農民運動、さらに協同組合運動などの先駆的指導者となる。賀川の自伝小説『死線を越えて』(1920年出版)は大正時代最大のベストセラーになり、一躍、国内外で広く知られるようになる。1923年、関東大震災被災者救援のため活動拠点を東京に移し、その運動をさらに全国的に拡大していく。今日、賀川は「わが国協同組合の父」と呼ばれている。1925年最初の聖地巡礼。戦前には超教派的に「神の国運動」、敗戦直後には「新日本建設キリスト運動」を全国的に展開する。また、世界連邦運動のリーダーとして平和運動を推進。ノーベル平和賞候補および文学賞候補にも推挙されている。1960年没。
――目次――
凡例 主な登場人物 地図
1章 ガリラヤ湖畔のイエス
2章 エルサレムの弟子
3章 北に旅するイエス
4章 エルサレムのイエス
5章 ギレアデの山々
6章 テベリアとカイサリアの宮廷人
7章 ペレアのイエス
8章 真夜中の訪問者
9章 民の罪を負う神の小羊
10章 最後の晩餐
11章 不法な裁判
12章 十字架への道
跋
編者あとがき
著者:賀川豊彦
出版:ミルトス
小説キリスト