キリシタン大名 高山右近
16世紀半ば、日本はヨーロッパとの接触によって、大きく変わろうとしていた。
室町幕府は衰退し、世は、下克上の戦国時代。(高山右近が生まれた1552年は、奇しくもフランシスコ・ザビエルが中国沿岸の小さな島で亡くなった年である)
信長、秀吉、家康と、めまぐるしく勝者は変わる。自領を平和な、民の安んじる「神の国」にしたいと念じつつも、時代の荒波はつぎつぎに右近を襲う。そのなかで、キリシタンとしての誠実をつらぬきとおすことは、なんとむずかしいことか。
信長に愛され、秀吉をはじめ多くの大名に信頼された右近の人望と、武将としての力量を恐れた家康は、ついに彼の国外追放を決断する。追放の地、マニラで病死するまで、長くは生きられなかったが、現代にいたるまで、その徳をしたう人は絶えない。(カトリック教会では、列福・列聖調査中。)
【目次】
第一章 この世の楽園を
喜びにみちた日々
荒木村重の謀反
青年城主の苦悩
すべてを投げうって
よみがえった平和
第二章 生いたちとその時代
日本キリシタンの夜明け
〈神の教え〉をめぐって
本能寺の変0
右近と秀吉
かぎりない好意
第三章 吹き荒れる嵐
秀吉の心変わり
〈追放令〉の真因
もうひとりのキリシタン大名
剣をとるものは剣で滅ぶ
あいつぐ迫害のなかで
第四章 やみのなかの光のように
天下分け目の戦い
信者たちの興奮
マニラへの旅路
死とその前後
あとがき
右近列福運動について
−文庫本の「あとがき」に代えて
著者:谷真介
出版:女子パウロ会
208ページ
初版発行:2011年5月11日
キリシタン大名 高山右近