社会主義北朝鮮の生成
ソ連占領期から建国初期の社会と経済
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日本の敗戦後,北朝鮮人民委員会の代表金日成により重要な政策が展開されたと言われたが,実際はソ連が北朝鮮に進出し支配権を掌握し,モスクワから朝鮮人の責任者へ指示が出され,社会主義北朝鮮の実現が試みられた。ソ連占領軍は農村や工場の行政,経営に深く関与し,反政府活動の抑制にも関わった。
占領軍は軍事力と警察力を背景に,「成分」という身分制を施行して民間組織の幹部を粛清,軍事の優先は食料や生活物資の極端な不足をもたらし生活を抑圧した。共産政権は労働動員という国家による強制労働を制度化し,公共工事や工場の建設工事には多くの無償労働者が動員された。
これらの政策で市場機能は衰退し,性急な計画化や誤った賃金制度が低生産性経済を生んだ。世間では無責任,無気力,リスク回避,労働規範の弛緩,そして横領,隠蔽,賄賂,ごまかしなどが横行,社会と生活は歪んでいった。
金日成は1948年に朝鮮人民軍を創設,解放という名の対南侵攻,北朝鮮主導の南北統一に強い意欲を示す。翌年にはソ連で武器調達の約束をし,スターリンも彼を支援した。軍事を優先する体制は,すでにこの時期に出現していた。
90年代には大量の餓死者を出して経済は破綻状況になり,住民の貧困化が進み,「絶望国家」の様相を深めた。
日本の言論界では戦後,親北派(梶村秀樹)と反北派(玉城素)が対立,前者が影響力をもったが,現在では後者が主流である。さらに全体主義を扱ったG.オーウェル『1984年』により北朝鮮へ新たな光を当てる。朝鮮戦争へと至る社会主義北朝鮮の実態を簡潔に紹介する基本図書。
はじめに
第1章 身分制度――「成分」
1 成分とは
2 捕獲文書――階級と成分
3 ソ連,中共の階級・成分
4 まとめ
第2章 農業制度
1 日本統治期の土地所有
2 地主制の廃棄
3 営農の自由の喪失――隷農化
4 農民負担
5 むすび
第3章 工業制度
1 ソ連型計画化
2 物資の自己調達
3 賃金制度
4 むすび
第4章 ソ連軍政と戦争準備
1 軍政
2 戦争準備
3 まとめ
結
付録『解放後三年間の国内外重要日誌』抄録
補論1 戦後日本の北朝鮮研究
1 2つの派
2 梶村秀樹――親北派
3 玉城素――反北派
4 南の発展,北の破綻
補論2 旧ソ連の北朝鮮論
〈日本統治下の朝鮮とソ連の関係〉
〈ソ連が北朝鮮に何をしてあげたか〉
〈数十年の歴史をもつ北朝鮮の労働力輸出〉
〈だまし合いに等しい2国関係〉
補論3 G.オーウェル『1984年』と北朝鮮
1 G.オーウェル――生涯
2 『1984年』
3 北朝鮮――フラフラ効果と血統主義
引用文献
英文要旨・目次
著者:木村 光彦
出版年月日 2026/11/15
ISBN 9784862854698
判型・ページ数 4-6・126ページ
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