ケニアの障がいのある子どもたちが奏でるすてきないのちの話

  • ケニアの障がいのある子どもたちが奏でるすてきないのちの話
NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 小児科医 公文和子〔2025/03/20〕出演で話題
東アフリカ・ケニアの首都ナイロビ郊外で障がい児とその家族を支援するために療育施設「シロアムの園」を開設
生まれつきの障がいが「過去におかした罪のせいである」という誤った偏見がある
本人も、そして家族も社会から遠ざけられ人目につかないところで育てざるをえない苦悩のなかにある
誰もが愛し愛され一人ひとりが大切にされる社会をつくりたいと願って活動している


目次

�� 部 講演
�� 部 奨励
�� 部 エッセイ
 シロアムの園 紹介
 あとがき

あとがき

 私の人生には数限りない伴走者がいます.もともと注意欠損や衝動性が強く,じっとしていられない私は,たくさんの人に迷惑をかけます.どれだけ多くの人たちがこれにより大変な思いをし,尻ぬぐいをさせられていることか.一番迷惑を被っているのは身近な家族やシロアムスタッフですが,迷惑の輪は限りなく外に向かって広がっていきます.この場をお借りしてお詫びとお礼を申し上げたいと思います.

 この性質のために,私はよく失敗をし,人に迷惑をかけ,人を傷つけ,自分も傷つき辛くなります.しかし,小さい頃,私は自分が失敗すると「ま,いっか」と言うので,今は亡き母は「ま,いっかの和ちゃん」と言っていました.失敗をして「ま,いっか」と言えるのは,周りのたくさんの人たちが愛をもって私を育て,見守ってくださったからなのだろうと思います.そして,今もそのような周りの人たちの愛の中で生きていることを心から感謝しています.

 今回,この大変な思いをさせられる私の船に,突然勇敢に乗り込んできてくださったのが,学生時代に通っていた教会の牧師夫人久野真理子さんと一麦出版社社長の西村勝佳さんでした.真理子さんから,2025 年4 月,前後の脈絡もなく突然,こんなメールが来ました.「今,一麦出版社の社長西村さんが家にいらしてます.早速,話してまとまりました.和さんはどう思うかわからないけど,公文和子講演録を出版することになったのよ.売り上げは全部シロアムにということも言ってくれました」.元気で明るくはじける真理子さんの声がそのまま聞こえてくるようなメールで,私になんの決定権もなく(笑),こんな恵みの企画が舞い込んできたのです.

 一番問題になったのは,私は講演の原稿を書かないということでした.講演の準備は,アウトラインを箇条書きにメモをして,当日は聞いてくださっている人たちの顔を見ながら,伝えたいことを考えながらしゃべります.原稿がないと講演集はできないので,それでは8 月の講演会を録画・録音し,10 月に本を出版し,10 月の講演会で販売をするという計画になりました.なんと無茶苦茶な.

 そして,また次の問題が出てきました.一回の帰国での私の講演会は,テーマを決めて,同じようなことを違う場所で対象者に合わせて何度もお話をします(なんと手抜き!).また,ケニアという異国の地の障がい児者のことを知っていただくために,自己紹介,ケニアの国情報,ケニアの障がい児の状況,シロアムの園の事業内容などの基本情報は,どの講演会でも話す必要があるため,くり返しになります.このため,本書では省略している部分や,重複していて読みづらい部分もあることをお詫び申し上げます.

 このために講演部分が少なくなり,逆にニュースレターやフェイスブックなどの記事をエッセイとして掲載することになりました.これは逆に私にとっては,創設から10 年の歩みをたどることになり,シロアムの園とその子どもたちの成長に思いをはせ,そこに働く神さまの恵みを感じ,豊かで感謝の時ともなりました.読者の皆さんにも伴走者になっていただき,恵みを分かち合っていただけることを,大変うれしく思います.

 出版にあたり,文字起こしをしてくださった,吉田みどりさん,本田敬子さん,岡野亜紀子さん,また,本書のためにさまざまな協力してくださった,秋田彰子さん,五辻涼子さん,大塚水葉さん,大屋温さん,大屋美空さん,酒井恭子さん,武重宏呂修さん,長尾純美さん,久野真知子さん,久野真理子さん,藤原里佐さん,望月泉恵さん(五十音順),そして表紙のイラストを描いてれた紺野安希さんに心から感謝いたします.また,8 月講演の録画・録音にご協力いただいた柿の木坂教会,風さん花さん薬局,新横浜教会,西宮すなご医療福祉センター(五十音順)の関係者のみなさまにも感謝申し上げます.

 そして,誰よりも,この無茶な時間枠の中で,何倍速かわからないようなスピードでたくさんの素晴らしいお仕事をしてくださった西村勝佳さんには感謝しつくせません.
 この本をとおして,ケニアの障がいのある素敵な私のお友だちや,私のきょうだいであり,友であり,救い主であるイエスさまのことを知っていただけるきっかけになることを心から願っています.
 私の大好きな讃美歌にこんなフレーズがあります.

 W h e n t h e r a c e i s c o m p l e t e , s t i l l m y l i p s s h a l l r e p e a t "Yet not I, but through Christ in me" 
 (レースが終わっても,私の唇はこうくり返すでしょう.“しかし,私ではなく,私の中のキリストによって”)

 シロアムの園というレースの中で,社会から弱くされている子どもたちや,欠けの多い私だからこそ,大きくて力強くて優しいイエスさまが働いてくださる.だからこそ,大変だけれども,そこに加わって一緒にわくわくしてくださる伴走者さんたちがたくさんいる.

 これからも,困難はあるけど素晴らしいレースを,私たちと共に続けていいただければ幸いです.


2025年9月 公文和子


【著者紹介】
公文和子
1968年和歌山県生まれ
1994年に北海道大学医学部卒業後、小児科医として勤務。
2001年に英国リバプールにて熱帯小児医学修士号取得後、シエラレオネ、カンボジア等での医療活動に従事。
2002年から現在までケニアで活動を開始、2015年に「シロアムの園」を設立し現在に至る。
2025年3月 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 小児科医 公文和子」に出演
2024年9月 MBS(TBS系列)「情熱大陸」に出演


出版:一麦出版社

ケニアの障がいのある子どもたちが奏でるすてきないのちの話

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