ハイデッガー=リッカート往復書簡 1912-1933 知泉学術叢書35(通巻36)
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若きハイデッガーの師弟関係というと現象学の祖フッサールとの関係が語られることが多い。しかし,それ以前より始まる新カント派のリッカートとの師弟関係はどれほど知られているだろうか。
この関係を抜きにして『存在と時間』(1927年)へ至る初期ハイデッガーの思想形成を紐解くことはできない。本書はハイデッガーとリッカートとの約20年間にわたる43通の往復書簡を収録。
この書簡集ではハイデッガーの修学期,1900年代初頭に隆盛を極めていた新カント派の研究と批判により自らの思索を練り上げていった姿を垣間見ることができる。
またハイデッガーのカトリック教会との関係や就職問題,フィンケ,E. ラスク,フッサール,そしてヤスパースとの関係など,実存的な状況も綴られており,「大哲学者」というだけではない側面もうかがい知れる。
さらにハイデッガーの研究発表の資料や講演「問いと判断」,さらに学位論文への主査A. シュナイダーの論評など貴重な「文書資料」も収録。
本書は,かつて日本で多くの翻訳・研究が出されていた新カント派の視点からハイデッガーの思索の現場を照らし,これまで見過ごされてきた思想的鉱脈を見つけるきっかけとなろう。さらに新カント派が時代を担った意味を再考するための有意義な資料である。
凡例
書簡
1 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1912年12月13日
2 ハイデッガーからリッカートへ
メスキルヒ(バーデン),1913年10月1日
3 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1913年11月15日
4 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1913年12月31日
5 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1914年2月5日
6 ハイデッガーからリッカートへ
メスキルヒ,1914年4月24日
7 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1914年7月3日
8 ハイデッガーからリッカートへ
メスキルヒ,1914年11月3日
9 ハイデッガーからリッカートへ
ミュールハイム,1915年10月19日
10 ハイデッガーからリッカートへ
ミュールハイム,1915年10月31日
11 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1915年11月4日
12 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1916年5月6日
13 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1916年6月30日
14 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1916年7月9日
15 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1916年7月10日
16 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1916年9月2日
17 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1916年10月6日
18 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1916年11月28日
19 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1916年12月2日
20 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1916年12月14日
21 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1916年12月23日
22 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1917年1月27日
23 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1917年2月3日
24 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1917年2月27日
25 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1917年11月19日
26 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1920年1月21日
27 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1920年1月27日
28 ハイデッガーからリッカートへ
メスキルヒ(バーデン),1920年8月27日
29 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1921年3月15日
30 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1921年6月25日
31 ハイデッガーからリッカートへ
マールブルク,1924年4月10日
32 ハイデッガーからリッカートへ
マールブルク,1928年2月15日
33 ハイデッガーからリッカートヘ
マールブルク,1928年5月1日
34 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1929年7月17日
35 ハイデッガーからリッカートヘ
フライブルク,1929年7月25日
36 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1929年8月3日
37 ハイデッガーからリッカートヘ
フライブルク゠ツェーリンゲン,1929年12月1日
38 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1929年12月4日
39 ハイデッガーからリッカートヘ
フライブルク,1930年5月20日
40 ハイデッガーからリッカートヘ
フライブルク,1930年11月26日
41 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1932年2月5日
42 ハイデッガーからリッカートへ
フライブルク,1932年2月7日
43 リッカートからハイデッガーへ
ハイデルベルク,1933年5月29日
文書資料
ハイデッガー「自然科学的概念形成の諸限界を超えるための試み」
(1913/14冬学期)
ハイデッガー「問いと判断」
(1915年7月10日)
ハイデッガー 学位申請書
(1913年6月30日)
ハイデッガー 履歴書と宣誓書
(1913年6月30日)
シュナイダー「ハイデッガー氏の学位論文に関する所見」
(1913年7月10日)
ハイデッガー 教授資格志願者
(1915年7月2日)
リッカート「ハイデッガー博士の教授資格論文に関する所見」
(1915年7月19日)
編者あとがき
書簡で言及された著作
訳者解説
訳者あとがき
人名索引
アルフレート・デンカー 編
渡辺 和典 訳
シリーズ 知泉学術叢書
出版年月日 2025/01/25
ISBN 9784862854261
判型・ページ数 新書・232ページ
知泉書館
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