キリスト教思想史の諸時代 別巻2 アウグスティヌスの『三位一体論』 を読む
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若き日の取り組みから70 年を経て、
ついに完成した『三位一体論』の詳細なコメンタリー。
古代キリスト教最大の成果であるこの教義を
[カリタス= 聖い愛]の本性から解明した書。
三位一体の類似像を発見する手引きとなっているのが愛の現象であり、この愛が知性を媒介にしてその存在構造が解明されたことがここに明らかになった。しかも愛の本性は対象に向かいながら同時に自己に向かっている。……アウグスティヌスの説く聖い愛カリタスは神への愛と自己への愛とを一つに融合させた統合体となっている。(本書より)
主な目次
第1章 古代教会における教義
(1)キリスト教のギリシア化/(2)三位一体論争/(3)キリスト論の問題/(4)アレイオス主義と三位一体論争/(5)アウグスティヌス時代の神学状況/(6)異端論争と受肉
第2章 『三位一体論』の第1部(第1 ― 7 巻)の構成
第1部 聖書を基礎にして三位一体の教義を考察する/第1巻/三位一体の定義、ほか/第2巻/第3巻/第4巻/第5巻/第6巻/第7巻
第3章 『三位一体論』の第2部(第8 ―15 巻)の構成
第8巻/第9巻/第10巻/第11巻/第12巻/第13巻/第14巻/第15巻
第4章 受肉の神学
はじめに/(1)異端論駁と受肉思想/(2)受肉の神学/(3)キリスト諭の問題/(4)『ヨハネ福音書講解説教』における受肉の神学と「属性の交流」、ほか
第5章 「神の像」の理解
はじめに/(1)「神の像」と「似姿」/(2)「神の像」の探求/(3)「神の像」の更新/(4)「神の像」の思想的特質
第6章 『三位一体論』における信仰と理性
はじめに/(1)愛の三肢構造/(2)知性源なる神に向かう超越と二つの三肢構造の関係/(4)存在・認識・愛の三一構造/(5)理性と信仰との関係の最終的結論、ほか/付論1 理性と信仰との区別の問題/付論2 『真の宗教』における信仰と理性
第7章 知性的認識と照明説
(1)知恵と知識の区別/(2)受肉したロゴスの意義/(3)インテリゲンティアの作用/(4)三位一体論の照明説/補論1 『ソリロクィア』の照明説/補論2 『真の宗教』における内面性の命法の構造
第8章 神への超越機能と三位一体神秘主義
(1)対向性としの霊性と超越機能性/(2)『真の宗教』における「超越の命法」/(3)『三位一体論』における理性と霊性/(4)聖なる愛と霊性の活動/(5)三位一体神秘主義/結論
第9章 アウグスティヌスの現代的意義
(1)「神の像」についてのアウグスティヌスとルターの相違/(2)聖書解釈の相違/(3)「転義」の理解の問題/⑴ アウグスティヌスにおける「転義」の意味/⑵ ルターにおける転義的解釈の特質/付論
付属資料1 アウグスティヌスの書簡174――アウレリウスへの手紙
付属資料2 アウグスティヌスの書簡120――コンセンティウスへの手紙
あとがき/書評再録(評者:出村みや子氏)
<著者紹介 金子晴勇(かねこ・はるお)>
1932 年静岡生まれ。1962 年京都大学大学院博士課程中退。67 年立教大学助教授、75 年『ルターの人間学』で京大文学博士、76 年同書で日本学士院賞受賞。82 年岡山大学教授、1990 年静岡大学教授、1995 年聖学院大学客員教授。2010 年退官。 主な著書:『ルターの人間学』(1975)『アウグスティヌスの人間学』(1982)、『ヨーロッパ人間学の歴史』(2008)、『エラスムスの人間学』(2011)、『アウグスティヌスの知恵』(2012)、『知恵の探求とは何か』(2013)、『キリスト教人間学』(2020)、『私たちの信仰』(2020)、『人文学の学び方』(2020)、『ヨーロッパ思想史』(2021)、『東西の霊性思想』(2021)、ほか多数
主な訳書:アウグスティヌス著作集 第9巻(1979)、ルター『生と死の講話』(2007)、ルター『神学討論集』(2010)、エラスムス『格言選集』(2015)、C. N. コックレン『キリスト教と古典文化』(2018)、エラスムス『対話集』(2019)ほか多数
出版: ヨベル
2024年2月
判型: 新書
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