説教 最後の晩餐
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教会は“あの夜”の出来事をこのように語る
品川・御殿山に建つ単立「キリスト品川教会」。そこで、毎年受難週に行われる「聖晩餐礼拝」において語られた説教など7編を収録した説教集。
世界で最も知られた晩餐を「大衆伝道者」として語る著者の、激しくも慰め深い説教から臨場感をもって味わうことができる。
「自分は、自分を本当に愛してくれる人を、悲しませてはいないだろうか。自分の近くにいてくれる人に、苦労を負わせてはいないだろうか。自分を信じてくれる人、子どものように素直に信じてくれる人を、失望させていないだろうか。そのように自分に問うて、もしそういうことがあるのだったら、それに気がついたら行いを改めればよいのです。大事なことは、自分のために悲しんでくれる人がいるということは、愛されている、ということなのです。その愛に気づけばいいのです。そしてその愛に、応えて生きるように、向きを変えればいいのです。」(《洗足》「主の愛につつまれて」より)
「自分の情けない姿に直面して自分の中に信頼できる確かなものは何もないことが明らかになってしまったときに、主イエスの中にある確かなもの、確かな愛、確かな真実、それを信じて、それに依り頼んで立ち上がる。それが信仰です。その信仰が無くならないように、主イエスは祈られたのです。その信仰がありさえすれば、あなたは立てる。」(《ペトロの否認》「真の弟子になるために」より)
著者が会衆に向けて語った受難節の説教が、説教集となった今も「生きた」言葉として、リアリティをもって読者に語りかける。
エルサレム入城、最後の晩餐、そしてゲツセマネを経て、イエスのもとから一目散に逃げ去った弟子たちと、十字架へとまっすぐに向かっていくイエス……
主イエスと弟子たちの最後の一週間から「受難」の意味を新しく聞く、受難節に入った「今」だからこそ手に取りたい一冊。
【目次】
《エルサレム入城》真実の王はどこに ルカによる福音書 19章28〜40節
《洗足》主の愛につつまれて ヨハネによる福音書 13章1〜11節
《聖晩餐》主の晩餐を共に マルコによる福音書 14章22〜26節
《「だれがいちばん偉いのか」》給仕してくださる神 ルカによる福音書 22章24節〜30節
《ゲツセマネの園》主イエスの戦いを知る マルコによる福音書 14章32〜42節
《ペトロの否認》真の弟子になるために ルカによる福音書 22章31〜34節、54〜62節
《十字架》見捨てられた神の子 マルコによる福音書 15章33〜39節
《パウロの手紙》キリストがわたしの内に コリントの信徒への手紙 一 11章23〜26節
【著者】
吉村和雄(よしむら・かずお)
1949年、福島県いわき市生まれ。東京大学工学部卒業。東京神学大学大学院修士課程修了。1990年〜2021年、単立キリスト品川教会主任牧師。現在は同教会名誉牧師。
著書:『結婚の話』(日本伝道出版)、『泉のほとりで』、『ふたりで読む教会の結婚式』(キリスト品川教会出版局)、『聖書が教える世界とわたしたち』(GC 伝道出版会)
訳書:『説教』F. クラドック著(教文館)、『歌いつつ聖徒らと共に』トマス・ロング 著(日本キリスト教団出版局)『説教をめぐる知恵の言葉 上・下』(共訳)R. リシャー編(キリスト新聞社)、
『詩編を祈る』W. ブルッゲマン著(日本キリスト教団出版局)
出版:キリスト新聞社
2023年2月
説教 最後の晩餐