ヘーゲル全集 第15巻 自筆講義録I(1816-31)

  • ヘーゲル全集 第15巻 自筆講義録I(1816-31)
批判的校訂によるアカデミー版の成果を踏まえ,日本語版独自の編集により訳出,解説と詳細な注は新たなヘーゲル研究の基盤と最新のヘーゲル像を提供し,従来の関連作品を一新する待望の本格的全集である。

『宗教哲学(講義)』として読まれてきたテクストは,ヘーゲルの死後,全四回に渡る「宗教哲学」講義を弟子たちの手によって恣意的に編集,一冊の書物となったものであり,講義の実像を伝えるものではなかった。

本巻には,神の知的理解を目指し,四年度に渡ってベルリン大学で行われた「宗教哲学」講義(1821,24,27,31年)のうち,唯一現存する1821年の自筆原稿を収録する。

自筆原稿は単語の羅列など断片的で,読解の難しい箇所が多く,それらには言葉を補い,文脈を取れるように配慮し,自筆原稿へのヘーゲルの欄外書き込みも注で示す。さらに1821年原稿の「梗概」,他年度講義との変更に関する「解説」なども充実している。

これまでの「体系家ヘーゲル」という像から変貌し続ける「未完の哲学者」という新たなヘーゲル像を知るうえで格好の一書である。本邦初訳。

凡例

宗教哲学講義(1821年)自筆原稿
  序論
  第1章 講義対象(宗教)について
  第2章 神の可知性についての時代的反省
  第3章 神の知的理解はキリスト教の本質である
  第4章 宗教哲学と宗教との区別
  第5章 宗教とそれ以外(爾余)の意識との関係
  第6章 思考の限界について
  第7章 宗教と認識との対立
  第8章 宗教哲学の欲求
  第9章 和解の唯一の可能性はキリスト教にある
  第10章 表象と思考の和解
  第11章 「われわれの時代」における信知の関係
  第12章 むすび

 第�吃堯―ゞ気粒鞠�
  第1章 A 宗教一般の概念
   第1節 宗教を構成する2つの契機
   第2節 宗教の歴史における宗教の概念の現れ
  第2章 B 宗教的立場の学的概念
   第1節 外的必然性と内的必然性との区別
   第2節 宗教の概念の思弁的な定義
   第3節 絶対的普遍性と絶対的個別性の統一としての宗教的関係
  第3章 C この立場の必然性
  第4章 D 芸術と哲学に対する宗教の関係性
   第1節 直観
   第2節 表象
   第3節 思考

 第�局堯ゝ�定された宗教(有限な宗教)
  第1章 A 直接的な宗教
   第1節 α)[神の形而上学的概念]
   第2節 β)具体的な表象
   第3節 γ)自己意識の側面。主体性,祭祀
  第2章 β)崇高の宗教と美の宗教 (※ βは原書通り)
   第1節 α)形而上学的概念
   第2節 β)具体的な表象。理念の形式
    第1項 〔α 崇高の宗教における具体的な表象〕
    第2項 〔β 必然性の宗教における具体的な表象〕
    第3項 γ 祭祀
  第3章 C 合目的性の宗教――さしあたっての,あるいはまた,利己主義や利己心の〔宗教〕
  第4章 D 合目的性の宗教――あるいは悟性の〔宗教〕
   第1節 α)抽象的な概念
    (1)合目的性の観点からみた,神・世界・人間
    (2)カントによる合目的性の理解の検討
   第2節 β)神的本質の形態化と表象 具体的な表象――理念の形式
    第1項 さまざまな目的からなる多性の宗教としての特徴づけ
    第2項 精神の形態化と祭祀
    第3項 幸運と失敗・不幸,ならびに秘密に満ちた本質について
    第4項 諸威力との関係における政治・国家について
    第5項 人間的な諸目的,ならびに迷信について
    第6項 祭祀における演劇について
    第7項 皇帝に対する崇拝について
    〔第8項 キリスト教への移行――有限性が解き放たれ,純化されること〕

 第�敬堯ヾ粟�された宗教あるいは啓示宗教
   第1節 この宗教の定義
   第2節 キリスト教の特徴
  第1章 A 抽象的概念〔存在論的証明〕
  第2章 B 具体的表象
   第1節 a)理念そのもの・三位一体の神
   第2節 b)分裂における理念――自然世界の創造と保持
   第3節 c)有限精神における理念の現象:離反,贖罪,和解
    第1項 α 神からの離反:自然的な人間
    第2項 β 贖いと和解――キリスト
  第3章 C 教団,祭祀(礼拝)
   第1節 α)教団の成立
   第2節 β)教団の存在――祭祀
   第3節 γ)教団の消滅


補遺

 宗教哲学に関する紙片
   心情,高揚
   聖霊
   悟性の宗教
   ローマの宗教
   秘儀
   散文的宗教
   もっとも有限な宗教
   神の子
   γ)受苦すること,死ぬこと,復活すること
   散文
   教義
   教団
   塵芥に終わる
   3つの領域に対する回顧


解説

 第1部 「宗教哲学講義(1821年)自筆原稿」梗概
  序論
   「序論」梗概
  第�吃堯―ゞ気粒鞠�
   「第�吃堯―ゞ気粒鞠亜弭竺�
  第�局堯ゝ�定された宗教(有限な宗教)
   「第�局堯ゝ�定された宗教(有限な宗教)」梗概
  第�敬堯ヾ粟�された宗教あるいは啓示宗教
   「第�敬堯ヾ粟�された宗教あるいは啓示宗教」梗概

 第2部 「宗教哲学」資料の再構成
   『宗教哲学講義』とヘーゲルの実像との隔たり
   イエシュケによる「宗教哲学」資料の時代別の編纂
   ヘーゲル思想像の変化
   1821年自筆原稿の特異性
   1821年原稿固有の思想的モチーフをさぐるための足がかり

 第3部 テキストの成立経緯
   講義「宗教哲学」
    1 ベルリン期に至るまでの宗教論の展開と講義への決意
    2 原稿執筆時期確定と原稿に見られる混乱
    3 後年の諸講義に対する原稿の意義
   補遺 宗教哲学に関する紙片

 第4部 テキストの伝承資料
   講義「宗教哲学」
    1 形態と番号づけ
    2 書込と欄外メモ
    3 テキストの推敲
   補遺 宗教哲学に関する紙片

 第5部 散逸資料報告


責任編集者あとがき
人名索引
著作名索引
地名索引
事項索引
訳者紹介

著者:小林 亜津子 責任編集、山口 誠一 責任編集

シリーズ ヘーゲル全集
出版年月日 2020/09/10
ISBN 9784862853196
判型・ページ数 菊判・648ページ

出版:知泉書館

ヘーゲル全集 第15巻 自筆講義録I(1816-31)

10,450円(本体9,500円、税950円)

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