新版 ペトラルカ研究

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ペトラルカ(1304-74)における古代ローマへの熱烈な憧憬は,キケロに始まりリウィウス,ウェルギリウス,アウグスティヌスに及び,古典収集と文献批判を通して古典文学研究や宗教文学研究など多岐にわたって展開した。かれの関心は倫理学,詩学,修辞学,歴史の観点から古代の人々の豊かな精神と知恵に直接触れ合うことであった。
古代ラテン文化への共感から,哲学的探究と人間的交わりの深化とを一体化するため,ペトラルカはスコラ学の論理的叙述形式と体系化を拒否した。書簡体や対話体を駆使してあらゆる関心を人間とその生き方に集中し,総合的な「人間の学」としてのフマニタス研究(人文学研究)に結実させ,キリスト教ヒューマニズムとしてヒューマニズム運動の基盤を確立し,近世から今日まで世界の歴史に巨大な影響力を与え続けてきた。
ドイツ観念論の影響が強かったわが国の哲学界では大系を欠くルネサンス哲学はほとんど無視されてきた。本書は中世から近世への転換にとってヒューマニズムやモラリスム哲学が果たした役割を見事に解明し,後期スコラ学からデカルト,ライプニッツを中心とする思想史理解の見直しを迫る画期的業績である。全面的に推敲された新版は基本文献として哲学界に新たな刺激を与えよう。


序 論 「歴史なきペトラルカ」とペトラルカの歴史

第一部 ペトラルカにおけるヒューマニズムの形成
第一章 少年期の教養形成(1304-20) 
第二章 ボローニャ遊学(1320-26)
第三章 リウィウス復元の試み――古典研究(一) 
第四章 古典収集活動――古典研究(二)
第五章 ヒューマニズムの成立――「愛読書」目録とその意味するもの
第六章 キリスト教的ヒューマニズム
第七章 人間の「人間化」
第八章 結論と展望

第二部 ペトラルカの思想
第一章 モラリスムとしてのヒューマニズム
第二章 モラリスム哲学の伝統とその継承――プラトニズムの問題をめぐって
第三章 古代文学の「再生」と継承
第四章 法学批判――時代批判(一)
第五章 アヴェロエス派の虚像と実像――時代批判(二)
第六章 アラビア文化排撃――時代批判(三)
第七章 自然科学論争――時代批判(四)
第八章 「開かれた学」としてのヒューマニズム


近藤 恒一 著
出版:知泉書館

新版 ペトラルカ研究

8,800円(本体8,000円、税800円)

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