J.S.バッハ 時代を超えたカントール
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膨大な資料をもとに、バッハが生きた時代の社会的・宗教的な状況を詳細に検証。著者独自の新しい視点でその生涯を追う。時代ごとに彼が遂げていった変化、彼が目指していたものは何だったのか。賛美の調べを奏で続けたバッハの生涯が生き生きと感じられる秀作。
【目次】
第1章 音楽職人バッハ一族の遺産
受け継がれたコラール/バッハ一族/音楽職人の一族
第2章 心のふるさと ─ アイゼナハ
父母/宮廷都市アイゼナハ/ルターの町/町楽師
第3章 兄のもとで ─ オールドゥルフ
兄のもとへ/オールドゥルフ/オルガン・学校/旅立ち
第4章 北への旅 ─ リューネブルク
わずかな手がかり/ゲオルク・ベーム/
ヨハン・アダム・ラインケン/北への旅の目標
第5章 若きオルガニスト ─ アルンシュタット
古都アルンシュタット/第一の謎/第二の謎/第三の謎/
バッハ一族の連携/アルンシュタット時代の作品/
立ちこめる暗雲/リューベックへ
第6章 職人から芸術家への途上で ─ ミュールハウゼン
マイスターとしての自立/帝国自由都市ミュールハウゼン/
聖ブラジウス教会オルガニスト/オルガンとカンタータ/
ミュールハウゼンのバッハ/ブクステフーデ体験/
敬虔主義の再発見
第7章 芸術家としての自立 ─ ヴァイマル
ミュールハウゼン辞表/オルガニスト音楽の試み/
ヴァイマルへ/テューリンゲンの小宮廷/
子どもたちと弟子たち/オルガニストとして/イタリア音楽/
ハレ転職の試み/宮廷楽師長に/ヴァイマルを後に
第8章 楽長バッハ ─ ケーテン
ヴァイマルからケーテンへ/イタリア音楽の魅力/
充実した楽団/レオポルト公の熱意/アンサンブル音楽/
ヴァイマルの延長としてのケーテン/ケーテン宮廷デビュー/
ケーテン時代の作品/ブランデンブルク協奏曲/
身分制社会批判?/マリア・バルバラ哀悼/
恵み深く音楽に精通した君主/カルヴァン派とルター派/
ギゼラとレオポルト・骨肉の争い/対立の中のバッハ
第9章 楽長型カントール ─ ライプチヒ(1)
エールトマン書簡/さまざまな推測/ためらい/
ドレスデン宮廷の圧力/封建都市ライプチヒの給与体系/
ライプチヒ市/招聘の経過/ドレスデン対ライプチヒ/
楽長型カントールのデビュー/不自由なカントール職/
カントールを選択した意志/ライプチヒ初年度/ヨハネ受難曲/
ライプチヒ二年目/マタイ受難曲/信仰なしに理解できるのか?
第10章 市民社会の音楽家 ─ ライプチヒ(2)
カンタータの制作年代/市議会との対立/曲がり角/
カンタータ年巻/クラヴィア練習曲集/コレギウム・ムジクム/
ルター主義職業倫理の崩壊/シャイベ論争/
サン・スーシ宮殿の出会い
第11章 見えざる教会のカントール ─ ライプチヒ(3)
転換期のドイツ/敬虔主義・共鳴と反発/晩年/自己確認の試み/
フーガの技法とロ短調ミサ曲/バッハの全体像
第12章 死・墓・家族
失敗した手術/埋葬・墓/残された家族
あとがき/文献表/註/略号表/索引
川端 純四郎:著
A5判 上製 306ページ
日本キリスト教団出版
J.S.バッハ 時代を超えたカントール