申命記史書 旧約聖書の歴史書の成立

  • 申命記史書 旧約聖書の歴史書の成立
旧約聖書における歴史記述の始まりという問題を提起し、「申命記史書」理論を提唱したM・ノート。この理論が発表されてから60年余りの批判的研究の過程で、様々に立てられた仮説を、旧約学の最新成果をもとに吟味し、相互に対話させる最先端の研究書。

【目次】
日本語版への序文/略語表/序文

第一章 いわゆる申命記史書の内容(申命記―列王記下)
    第1節 申命記
    第2節 ヨシュア記
    第3節 士師記
    第4節 サムエル記―列王記

第二章 「申命記史書」とは何を意味するのか?――過去の研究概観
    第1節 申命記史書仮説の前史
      1.1 「申命記史書」の観念に向けての第一歩
      1.2 「申命記主義」の発見
      1.3 申命記主義的編集という考え方の精密化
    第2節 マルティン・ノートによる申命記史書仮説の展開
      2.1 ノート説の源泉
      2.2 『伝承史研究』
      2.3 ノートのモデルへの最初の反響
    第3節 申命記史書仮説の主要な修正案と批判者たち
      3.1 フランク・ムーア・クロスと
         申命記史書の二重編集仮説
      3.2 ルードルフ・スメントと
         申命記史書の捕囚期多重編集仮説
      3.3 「新ノート主義」
      3.4 申命記史書とその他の文書の申命記主義的編集
      3.5 申命記史書仮説に対する最近の批判
         3.5.1 歴史記述としての申命記史書
         3.5.2 申命記から列王記までの諸書は
          一つの首尾一貫した申命記主義的編集を示すか
    第4節 議論の現況――妥協の時?

第三章 アッシリア時代からペルシア時代までの申命記史書
    第1節 「申命記史家たち」とは何者であったのか
    第2節 列王記下22−23章における
        申命記主義的学派の創設神話
        ――律法の書の発見と祭儀改革
    第3節 申命記12章における祭儀集中についての
        三つの異なる見方
        ――申命記史書の3段階からなる成立の例証として
      3.1 申命記12章13−18節
         前7世紀末における祭儀集中の実際的な諸帰結
      3.2 申命記12章8−12節
         祭儀集中の観念の捕囚時代における再解釈
      3.3 申命記12章2−7節
         祭儀集中とペルシア時代における
         「非正統的」な祭儀の拒絶
      3.4 申命記12章の三つの稿と
         申命記史書における書記たちの活動

第四章 アッシリア時代の申命記主義的編集と王のプロパガンダ
    第1節 前7世紀における申命記主義的な
        文書形成活動の始まり
    第2節 アッシリア時代における申命記の最初の稿
      2.1 申命記とアッシリアの条約文書
      2.2 申命記の第一稿の内容、関心、イデオロギー
    第3節 ヨシュア記における政治的、軍事的プロパガンダ
      3.1 ヨシュア記の構成の問題
      3.2 新アッシリアの征服記事と
         ヨシュア記第一稿に関わるその意義
      3.3 ヨシヤ時代における最初の征服記事
         (ヨシュ5−12章*)の役割
    第4節 士師記、サムエル記、列王記
      4.1 士師記
      4.2 サムエル記
      4.3 列王記
    第5節 まとめ――新アッシリア時代における
        申命記主義的叢書の起源

第五章 新バビロン時代における申命記史書の成立
    第1節 いわゆる「捕囚時代」という背景
      1.1 ヨシヤから捕囚
      1.2 「捕囚時代」の発明
      1.3 申命記史書の捕囚期稿――危機文学の理念
    第2節 申命記史書の捕囚記稿の構造とイデオロギー
    第3節 申命記史書の捕囚期稿
      3.1 申命記――歴史についての読者ガイド
        3.1.1 申命記の文学的虚構
        3.1.2 申命記1−3章におけるイスラエルの諸起源の形成
        3.1.3 「出エジプト」起源神話における
           「父祖たち」への言及
        3.1.4 申命記五章と律法の組織化
      3.2 土地の征服から律法の征服へ
         ――ヨシュア記の再解釈
      3.3 士師時代(士2:6−19*からサム上12章*まで)の発明 
        3.3.1 士師記の申命記史家たちによる編集
        3.3.2 王政への申命記史家たちの態度
           (申17:14−20、およびサム上8−12章)
        3.3.3 契約の箱の物語
            サム上4−6章(およびサム下6章)
      3.4 王朝の樹立と神殿の建設(サム上12章−王上8章)
      3.5 二つの王国の物語(王上9章―王下17章)
        3.5.1 ソロモンと王国の危機
        3.5.2 預言者たちと王たち
        3.5.3 北王国の王たち
        3.5.4 南王国の王たち(レハブアムからアハズまで)
      3.6 祭儀改革とユダの終焉(王下18—25章)
    第4節 まとめ――申命記史書の捕囚期稿

第六章 ペルシア時代における申命記史書の編集
    第1節 ペルシア時代のユダにおける社会的、政治的文脈
    第2節 申命記史書のペルシア時代稿の主要諸主題
      2.1 申命記から士師記までの諸書の人種排他主義的改訂
      2.2 拝一神教から唯一神教へ
      2.3 ゴラーとディアスポラ
    第3節 申命記史書の死とトーラーの誕生

聖句索引/人名索引/訳者あとがき


T.C.レーマー:著 
山我 哲雄:訳

A5判 上製 ページ

出版:日本キリスト教団出版局

申命記史書 旧約聖書の歴史書の成立

7,040円(本体6,400円、税640円)

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