憶えよ、汝死すべきを 死をめぐるドイツ・プロテスタンティズムと音楽の歴史

  • 憶えよ、汝死すべきを 死をめぐるドイツ・プロテスタンティズムと音楽の歴史

「死」という問題を、ドイツ・プロテスタンティズムにおける「神学」と「音楽」の見地から、立体的に考察。16世紀から20世紀前半までにわたる各時代の歴史的背景や政治、文化を踏まえつつ、多数の譜例や図版を用いながら展開し、テーマを鮮やかに描き出す。


【目次】

  プロローグ

二つの方法論的序論

 「文化の神学」の課題としての死の問題――理念史から社会史へ
   1.「文化の神学」という方法
   2.学問 Wissenschaftとしての文化の神学
   3.本研究のための三つの根本的な要点
   4.神学における諸問題を取り使った各章の概要

 「音楽と死」をめぐる解釈学的省察へ向けて
   1.なぜ「音楽と死」なのか
   2.「音楽と死」をめぐる研究の現状
   3.本書における音楽研究の方法論的前提
   4.本書における音楽研究の方法論的限界

第1部 宗教改革と宗派分裂の時代(16−17世紀)

 第1章 宗教改革とふたつの17世紀
     ――連続と断絶の間にある死の問題
   1.中世に属する宗教改革とふたつの17世紀
   2.中世キリスト教における死の歴史性
      ――ヨーロッパのキリスト教化と
        キリスト教のヨーロッパ化
   3.宗教改革は近代の始まりなのか、改革された中世なのか
   4.16世紀と17世紀との「断絶」
      ――魂のアンシュタルトとしての教会から
        魂の約束としての教会へ
   5.16世紀と17世紀との「連続」
      ――宗教改革とドイツ・ルター派正統主義
   6.「現象を救う」

 第2章 16−17世紀における音楽と死をめぐって
   1.中世末期における死をめぐる状況
   2.死・来世・音楽──ガルス・ドレスラーの場合
   3.「往生術」
   4.ルター派の修養書
   5.葬式説教
   6.ドレスラーのモテットと往生術
   7.宗派分裂・正統主義成立期の敬虔
   8.シュッツのモテット
      《今よりのち、主にありて死ぬ死者は幸いなり》
   9.葬式説教にみる聖書解釈との関係

第2部 18世紀

 第3章 宗教的であるが、教会的ではない死
     ――敬虔主義と啓蒙主義の時代の教会と神学
   1.神学と教会にとっての18世紀、
      あるいは「信仰の確かさ」という問題
   2.フランス革命とドイツ・プロテスタントの神学と教会
   3.自然に関する知識の増加の影響、
      あるいは死の理解の転換
   4.啓蒙主義的な思想における死の理解、
      あるいは神学と音楽における死の問題
   5.信仰の世俗化と世俗音楽が宗教音楽に与えた影響

 第4章 18世紀における音楽と死をめぐって
   1.ルター派圏における死をめぐる敬虔実践の変化
   2.霊的婚姻のトポスと二つの終末論
   3.J. S. バッハのカンタータ《来たれ、甘き死の時よ》
   4.世俗化する死──啓蒙主義時代の死に対する態度
   5.C. W. ラムラー /C. H. グラウン
      《イエスの死》をめぐって

第3部 19世紀

 第5章 宗教の私事化の時代における死
     ――19世紀の教会と神学における死の問題
   1.偉大なる神学者たちの時代としての19世紀
   2.「宗教の私事化」と19世紀のプロテスタント神学
      ――シュイライアマハーの場合
   3.「宗教の私事化」と19世紀のプロテスタント神学
      ――「プロテスタント協会」と
        「プロテスタント友の会」の場合
   4.ルートヴィヒ・フォイエルバッハの問題
   5.死の理解の変質

 第6章 19世紀における音楽と死をめぐって 
   はじめに
   1.英雄の死
   2.愛する者の死
   3.慰めと生の源泉としての追憶
   4.救済/成就としての死
   5.死への憧憬の音楽的表現
   6.ブラームスにおける諦観と憧憬
   7.シュライアマハーにおける宗教・愛・死
   8.ノヴァーリスと逆転した「婚姻の神秘」
   9.終末論的な愛の賛歌

第4部 20世紀前半

 第7章 表現主義の時代の教会と神学
     ――新しい宗教性と音楽
   1.1905年から1930年までのプロテスタンティズム
   2.「制度としての教会」批判
   3.広義の表現主義
   4.表現主義という芸術運動
   5.第一次世界大戦と「表現主義」における死の問題

 第8章 20世紀前半における音楽と死
     ―― A. シェーンベルクの無調期を中心に
   1.本章の課題と対象
   2.タブー視される死
   3.芸術宗教の展開としての表現主義
   4.死と女性的なるもの
   5.《ヤコブの梯子》

   エピローグ/参考文献/索引


深井 智朗:著 
大角 欣矢:著

A5判 上製 402ページ

出版:日本キリスト教団出版局

憶えよ、汝死すべきを 死をめぐるドイツ・プロテスタンティズムと音楽の歴史

6,160円(本体5,600円、税560円)

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