権威と服従 近代日本におけるローマ書十三章
「すべての人は、上に立つ権威に従うべきである」――
古来、キリスト教倫理の基本テキストとなり、同時に激烈な論議の対象ともなったローマ書十三章。
本書は、パウロ思想の射程を政治への良心的=批判的参与と捉えた上で、近代日本におけるその受容の跡を丹念に辿り、天皇制国家とキリスト教信仰との緊張、とりわけ太平洋戦争下の協力と抵抗の諸相を克明に描き出す。聖書解釈史による異色の思想史論。
【目次より】
序 章 分析の視座
第一章 プロテスタント宣教師たち
1 『十戒』とまことの神
2 『ローマ書注解』(邦訳版)
第二章 明治キリスト教とローマ書十三章
1 明治初年から不敬事件まで
2 日清・日露戦争以後
第三章 大正デモクラシーとローマ書十三章
1 内村鑑三の『羅馬書の研究』
2 大正デモクラシーとキリスト者
第四章 天皇制ファシズム確立期のキリスト教
1 一九三〇年代初期のローマ書十三章
2 国体明徴運動と《日本的キリスト教》
3 日中戦争下のローマ書十三章
第五章 太平洋戦争の只中で
1 神学者とローマ書十三章
2 社会科学者とローマ書十三章
3 殉国と殉教とのあいだ
終 章 反省と展望
あとがき
人名索引
著者:宮田光雄
出版:新教出版社
権威と服従 近代日本におけるローマ書十三章