イエス運動 ある価値革命の社会史
イエス運動の核心を、ラディカルな愛と和解のビジョンを掲げたユダヤ教革新運動と位置づけ、併せてそれが原始キリスト教に発展していったプロセスを社会的・歴史的・宗教心理学的に解明した労作。
『イエス運動の社会学』の呈示した「放浪のラディカリズム」のテーゼをさらに深化発展させた決定版。
【目次より】
導 入 ―― イエス運動の社会学の課題と方法
一 イエス運動の社会学の課題
二 イエス運動の社会学の理論的な諸想定
三 イエス運動の社会学の方法
四 イエス運動の社会学のための資料
五 キーワードによる研究史
六 イエス運動の社会学の前理解と関心
第一章 脱落者と放浪する霊能者たちの運動――イエス運動の役割分析
一 希望の担い手、運動の中心であるナザレのイエス――第一次霊能者の役割
二 脱落者としての放浪する霊能者たち――第二次霊能者たちの役割
三 慈善後援者としての支援者たち――第三次霊能者たちの役割
四 全権者なるアウトサイダーとしての人の子――宗教的な象徴世界における役割
第二章 千年王国運動としてのイエス運動――イエス運動の集団分析
一 その他のユダヤ教革新運動との文化内比較
二 全世界の千年王国運動との文化間比較
三 ユダヤ教内部のイエス運動からヘレニズム的カルト運動へ
第三章 イエス運動発祥の場であるユダヤ社会の危機――イエス運動の社会分析
一 富める者と貧しい者の間の葛藤――社会経済的な諸要因
二 都市と地方の間の葛藤――社会生態的な諸要因
二・四 都市と地方の対立――諸原因
三 慢性的な政体危機にある地――社会政治的な諸要因
四 ヘレニズムとユダヤ教の対決――社会文化的な諸要因
第四章 イエス運動の社会的ヴィジョン――観念の分析
一 神の支配のヴィジョン――ある価値革命の企図
二 暴力を減少させる戦略のヴィジョン――権力革命の拒絶
三 ヘレニズム的原始キリスト教への移行――価値革命が象徴革命に残したもの
出版:: 新教出版社
著者:ゲルト・タイセン
訳者:廣石望
2010年9月
イエス運動 ある価値革命の社会史