詩集 見えない涙
「活字から声が聞こえる、
若松さんの詩には体温がある。」
谷川俊太郎
「この詩集を読む者は、まず詩情のきよらかさに搏たれる。それはただの純情ではなく、ぎりぎりまでものを考える知性で裏打ちされている。まるで奥深い天上の光が差しこんで来るかのようだ。」
石牟礼道子
泣くことも忘れてしまった人たちへ。
26編の詩を収めた、若松英輔初の詩集。
今日は記念日
あなたとわたしが出会った日
いっしょにお祝いをしたいけれど
あなたがいるところへは
行けないから
いくつかの言葉を贈ります
ぜったいに独りにしない
そう約束したのに
突然
逝ってしまったあなたへ
かなしみという 藍色の切手を貼って
(「記念日」より)
【目次】
燈火
風の電話
記念日
楽園
ヒトから人へ
コトバ
香炉 薬草
旧い友
詩人
読めない本
仕事
焔
夏の花
さくら
見えないこよみ
悲願
歓喜
邂逅
悲しさを語るな
聖女の遺言
天来の使者
言葉の舟
言葉の護符
騎士
青い花
著者紹介
若松英輔(わかまつ・えいすけ)
批評家・随筆家。一九六八年生まれ、慶應義塾大学文学部仏文科卒業。二〇〇七年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて三田文学新人賞、二〇一六年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』にて西脇順三郎学術賞を受賞。
著書に『イエス伝』(中央公論新社)、『魂にふれる 大震災と、生きている死者』(トランスビュー)、『生きる哲学』(文春新書)、『霊性の哲学』(角川選書)、『悲しみの秘義』(ナナロク社)、『生きていくうえで、かけがえのないこと』『言葉の贈り物』(共に亜紀書房)、志村ふくみとの共著『緋の舟』(求龍堂)など多数。
出版:亜紀書房
発売:2017年5月
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詩集 見えない涙