イラクのキリスト教
2000年の歴史をひも解く
誕生間もないキリスト教が最初に伝えられ、宣教の中心地でもあったエジプト、シリア、イラク、トルコなどにおいて、最近キリスト教会の迫害が目立っている。ところが、なぜか一部を除いて、マスコミもその悲惨な状況を報道しない。いまこそ世界のキリスト教徒が教派を超え、一致して声をあげる時ではなかろうか。石が叫びだすまで、われわれは沈黙していて良いのであろうか。中東やアフリカの地に残されている尊いキリスト教信仰の霊的・物的遺産を大切にし、彼らに対する迫害が止み、平和な世界が訪れることを願わずにはいられない。(「訳者あとがき」より)
【著者】スハ・ラッサム
モースルの医師の家族の中で生まれる。バグダッド大学医学部で助教授として教える。1990年に、さらなる医学の研究のために英国に渡る。それ以来、ロンドンの病院で働く。医学博士。同時に、ロンドン大学東洋アフリカ研究所(SOAS)で東方キリスト教について研究し、修士号を取得。東方教会について英語で書かれた資料が乏しいことに気づき、本書を 2005年に出版。さらに、さまざまな会議等で講演を重ね、欧米の人たちにも中東のキリスト教、特にイラクのキリスト教についての知識が次第に浸透しつつあることを感じている。2008年には「教会に特別に貢献した婦人」、2016年に「聖墳墓メダル」を授与された。
【訳者】浜島敏(はまじま・びん)
1937年、愛知県で生まれる。67年明治学院大学大学院文学研究科英文学専攻修了。68年四国学院大学赴任、2004年定年退職。現在同大学名誉教授。1974〜 75年、英国内外聖書協会、大英図書館、オックスフォード大学図書館、1995年〜96年、ロンドン大学、ヘブライ大学等にて在外研究。2006年、日本聖書協会より聖書事業功労者として表彰。英語学、聖書翻訳に関する著書、論文多数。聖書コレクターとして現在800冊あまりの聖書を蔵書。
【目次】
第一章 中東におけるキリスト教の母体
第二章 最初の四世紀
第三章 五世紀と六世紀
第四章 七世紀から十六世紀まで
第五章 十六世紀から二十世紀まで―オスマン支配のもとで
第六章 二十世紀―現代イラク国家
第七章 二十一世紀
出版:キリスト新聞社
イラクのキリスト教