トレント公会議ーその歴史への手引きー

  • トレント公会議ーその歴史への手引きー
トレント公会議(1545-63年/中断期あり)は,宗教改革に対する対抗宗教改革であると同時に,中世以来の課題である幼児洗礼,告解,聖体拝領,婚姻と叙階など秘蹟について議論する場でもあった。会議は教皇特使の下で司教,大修道院長,修道会長,さらに神学や法学の専門家,全権大使の取り巻きなどによって行われた。

ローマ教皇庁は公会議主義を抑えて教皇権の首位性を確立し,教皇庁の人々を司教などに叙階して聖職禄で経済的に支えつつ組織を整備,聖職売買や贖宥状の販売を通じて財政基盤の確立を図った。またイタリアに多大な影響を及ぼしたカール5世は1516年のスペイン王即位後に神聖ローマ皇帝ともなった。彼は軍事力でルター派諸侯と対峙しつつ,帝国内部の宗教対立を収束するため公会議の開催を支持した。これに対しフランソワ1世はフランス王に即位,フランスがスペインや神聖ローマ帝国などカールの支配地に包囲されていく中で公会議に強く反対した。会議は俗権と教権,教皇と公会議,あるいは教皇権と帝国そして君主国間のせめぎ合いの場であった。
トレント公会議や対抗宗教改革はイタリア近現代史の主題である。日本語版書き下ろしでアジア関連の終章を付した,イタリアを代表する碩学による格好のイタリア近世史入門。カトリックとイタリア近世史を軽視するわが国の傾向に一石を投じるヨーロッパへの新たな扉である。

著者:アドリアーノ・プロスペリ
訳者:大西 克典
出版:知泉書館

判型:A5
頁数:300ページ
出版:2017/07/31

トレント公会議ーその歴史への手引きー

4,950円(本体4,500円、税450円)

購入数

カテゴリーで選ぶ

モバイルショップ